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変形性ひざ関節症〜初期

関節痛と言うと、最もポピュラーなものは「ひざ関節痛」ではないでしょうか?その中でも最もポピュラーなものが「変形性ひざ関節症」ですね。患者人口は何と2500万人とも言われています。

ただ、変形性ひざ関節症は、数年から十数年という非常に長い年月をかけて進んでいくもの。「潜伏期」→「初期」→「中期」→「末期」→「終期」という5段階のプロセスを経て悪化への道をたどっていきます。それぞれ、順に説明していくことにしましょう。今回は「初期」についてご案内します。

半月板の軽度損傷によってひざ関節のクッション機能が弱まると、大きな外力がかかった拍子などに、大腿骨と脛骨の軟骨同士がひっかがったり触れ合ったりすることが増えてきます。また、そういう際、軟骨の表面に小さな傷ができたり、触れ合った軟骨組織が劣化したりすることも多くなります。

これを「軟骨変性」といいます。この変性が進むと、軟骨の弾力がだんだん失われ、衝撃を吸収する力が次第に弱まってきてしまうのです。そして、ひざの内側がチクチクと痛んだり、ひざの動きにそれまでになかった違和感やぎこちなさを覚えたりするようになってきます。

これが「初期」の症状です。初期の痛みは、まだそれほど深刻ではありません。きっと、[ぶつけたり、転んだりしたわけでもないのに、なぜひざが痛むんだろう]と不思議に思う方もいることでしょう。でも、不思議には感じても、病院に行くこともなく過ごしてしまう人が大半です。この段階では、「半月板軽度損傷」の場合と同様に、いつのまにか痛みが治まってしまうことも多いのです。そのせいで、あまり深く考えずに、ほったらかしにしてしまう人が少なくないのです。

ただし、関節内の軟骨変性は着実に進んでいて、放置していると、ときどきひざの内側にチクチクとした痛みを感じるようになってくるでしょう。そして、痛む時期、痛まない時期を何度もくり返しながら、だんだん痛む時期が長くなっていくのです。さらに、痛んだり治まったりをくり返すうちに、痛みも徐々に増してくるように感じられてくるでしょう。

こうなると、たいていの人は「どうやら、自分はひざの状態がおかしい」と、不調を自覚するようになります。おそらく、30代、40代でも、こういう不調を自覚している人は少なくないはずです。しかし、この世代は「まだまだ若い」という意識が強く、仕事が忙しくて、ひざの状態を顧みる余裕がない人も多いのです。それで、みすみす状態を悪化させてしまう人が跡を絶たないのです。

また、この時期に運動不足の状態が続くと、内側広筋をはじめとした大腿部の筋力が低下し、O脚が進みやすくなります。O脚の進行が、関節内の状況悪化に拍車をかけてしまうことについては、既に述べた通りです。

変形性ひざ関節症を早めに良い止めるには、この「初期」のうちにしかるべき対処をとれるかどうかが大きなポイントになるといっていいでしょう。

変形性ひざ関節症の次のプロセスについては次回以降のコラムでご説明したいと思います。

なお、関節痛を軽減・治癒する目的で、グルコサミン、コンドロイチン、ヒアルロン酸などの成分が配合されたサプリメントが市販されています。日ごろの運動や適切なカロリーコントロールに加え、こうしたものも上手に活用しながら、関節痛を予防・治療していきましょう。

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