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2012/5/10
「神戸大など 膝の軟骨再生、治験開始へ」
先端医療センター病院(神戸市中央区)と神戸大医学部付属病院(同)は9日、激しいスポーツや交通事故などによる膝関節軟骨損傷の患者を対象に、本人から採取した膝の軟骨細胞を培養し、損傷部に移植する臨床試験(治験)を近く始めると発表。欧州では2500例以上の実績がある治療法で、来年3月までに10例の実施を予定。民間企業による治験を経て、2015年中の国内承認が目標。
膝の軟骨は大腿骨と脛骨の端の表面にあり、関節をスムーズに動かす役割。損傷で痛みや動きにくさが生じ、進行すれば生活に支障が出たり、変形性膝関節症の原因に。関節軟骨には血管がないため自然には元に戻らず、損傷部の周辺を刺激して組織再生を促す治療法などがあるが、十分な回復は困難。
治験では、体重の負担がかかりにくい部位にある正常な軟骨細胞を採取し、タンパク質の一種であるコラーゲンのゲル(ゼリー状の粘質)を“足場”にして培養。損傷部に合わせ、生体素材ののりで接着。縫合が不要なため手術時間が短縮され、従来より大きな部位を治療できる利点。移植後1カ月半〜2カ月程度で自力歩行が可能になるといい、計1年半ほどかけて損傷部の回復が目標。